首都圏環境美化センター

2023/02/08

使用済みプラスチック・廃棄プラスチック

廃棄プラスチック・廃プラスチックとは?

容器やペットボトルはもちろん、家電製品や自動車、建物など、さまざまなシーンで使われているプラスチック。熱や圧力を加えることによって成型加工ができる高分子物質の総称で、ひと言でプラスチックといっても、そのバリエーションはさまざまです。

略号名前特徴用途
PETポリエチレンテレフタレート強度が高く、透明性に優れている飲料用ボトル、フィルム、衣類など
PEポリエチレン耐久性に優れ、軽くて柔軟性があるビニール袋、パッケージ、プラスチックパイプ、プラスチック容器など
PPポリプロピレン軽くて丈夫で耐熱性に優れる食品容器、自動車部品、医療機器など
PSポリスチレン軽くて透明性に優れ、断熱性があるカップ、トレイ、電子機器など
PVCポリ塩化ビニール耐候性や耐薬品性に優れる電線、衣類、建材など
PCポリカーボネート強度が高く、透明性に優れ、耐衝撃性に優れるCD、DVD、保護メガネ、自動車部品など
ABSアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン強度に優れ、耐衝撃性がある自動車部品、玩具、電子機器など
PMMAポリメタクリル酸メチル透明性が高く、耐衝撃性に優れるガラス代用品、ディスプレーパネル、照明器具など
POMポリアセタール耐摩耗性に優れ、自己潤滑性があるベアリング、歯車、ストラップなど
PAポリアミド強度に優れ、摩擦や熱に強い自動車部品、機械部品、スポーツ用品など
LDPE低密度ポリエチレン柔軟性があり、耐薬品性に優れるフィルム、ビニール袋、プラスチック容器など
HDPE高密度ポリエチレン強度が高く、耐薬品性や耐衝撃性に優れるボトル、容器、パイプ、シートなど

プラスチックの原料は「原油」で、次のような工程でプラスチック製品は生まれます。

【原油】→【石油精製工場】→【ナフサ】→【プラスチック原料】→【プラスチック加工】→【プラスチック製品】

プラスチック製品の原料は「原油」であり、石油精製工場で原油から「ナフサ」と呼ばれる物質が生産されます。ナフサはプラスチック原料として使われ、プラスチック加工工場において成型などの加工が行われ、最終的にプラスチック製品が生産されます。

これらプラスチックの製造過程で生じるプラスチックの破片や、使用後に廃棄処分されたプラスチック製品などのプラスチックを主成分とする廃棄物のことを「廃プラスチック」といいます。

具体的には「合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくずなど固形状・液状のすべての合成高分子系化合物」とされています。

廃プラスチックは、大きく一般系廃プラスチックと産業系廃プラスチックに分けられます。

2022年度の内訳 : (一社)プラスチック循環利用協会発表

一般系廃プラスチック

  • ペットボトル、ビニール袋、発泡スチロールなどおもに家庭から出るもの。

*弊社では一般家庭ごみから排出される廃プラスチックごみの持ち込み・取り扱いはしておりません。

産業系廃プラスチック(産業廃棄物)

  • ペットボトル、ビニール袋、発泡スチロールなど事業系から出るもの
  • 包装・フィルム類、タイヤなど
  • プラスチック製品の製造・加工、流通過程から出るスクラップや包装資材など

首都圏環境美化センターでは各種、産業系廃プラスチックの処理に対応しており、分別された廃棄物はRPF原料(古紙燃料・水素など)やセメント原料として出荷できる中間処理を行なっております。

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律、いわゆるプラスチック新法の施行にいち早く対応したもので、日本でも数少ない最新の光学選別機・風力選別機等の導入により、プラスチック選別を高度化。高品質な資源循環を実現しています。

プラスチック類の処理施設

家庭から出るプラスチックは資源ごみ?

日常生活を営む過程で出る廃プラスチックは、資源ごみ、可燃ごみ、不燃ごみのいずれかの方法で処理されます。どんなプラスチックが、どのように分別されるかは、自治体によって異なります。

資源ごみ、可燃ごみともに、分別回収が進んでおり、今後も使用済みプラスチック(廃プラスチック)のリサイクルは推進されていきます。

*弊社では一般家庭ごみ・廃プラスチックごみの持ち込み・取り扱いはしておりません。

首都圏環境美化センターの主な処理機能と取り扱い品目

廃プラスチックのリサイクル法

資源として収集された一般系廃プラスチックや産業系廃プラスチックは、一部は埋め立てられたり、単純焼却されたりしますが、その多くはリサイクルされます。プラスチック循環利用協会の調査によると、2020年の廃プラスチックの有効利用率は86%となっています。

 そのリサイクルの方法は、おもに3通りあります。

  • マテリアルリサイクル
    • 廃プラスチックを溶かすなどの処理をして、もう一度原料として使われます。
    • 原料として使用される製品
      • パレット、工業用品、繊維製品、包装資材、文房具など
  • ケミカルリサイクル
    • 廃プラスチックに科学的な処理を加えて、化学工場や製鉄所で原料として使われます。
    • 水素、アンモニア、ナフサ、油化(2025年〜)
  • サーマルリサイクル
    • 廃プラスチックを燃やして、その熱をエネルギーとして有効活用する方法です。
    • 固形燃料化、セメント原燃料化、廃棄物発電など

一番有効なリサイクル法は、マテリアルリサイクル

みなさんはプラスチックを資源として捨てるとき、水ですすいだり、ふたを取ったりして、きれいにしていますよね。「捨てるのになぜきれいにするの?」と思ったことはありませんか?

これには大きな理由があるのです。

プラスチックの価値を高めるという点でみると、一番有効なリサイクル法は、マテリアルリサイクルになります。その次がケミカルリサイクル、そしてサーマルリサイクルという順番になります。

じつはサーマルリサイクルは、世界的にはリサイクルとは認められてはいないのです。

一番有効なリサイクル法といえるマテリアルリサイクルは、きれいな廃プラスチックであることが求められます。それゆえ捨てる際、きれいにする必要があるのです。

廃プラスチックが抱える問題点

産業廃棄物の中で、廃プラスチックの割合は2%程度です。しかし、環境問題においては、ほかの廃棄物に比べて大きな課題を抱えています。

海洋汚染

台風など悪天候の翌日、海岸に行ったことはありますか? そこでは、驚くべき光景を目にすることになります。数多くの廃プラスチックが打ち上げられているからです。

環境省の調査では、長崎県下関地域の海岸への漂着ごみの90%がプラスチックとなっています(2010~2014年合計)。

漂着ごみ(個数)の種類別割合(2010~2014年度(5年間)合計)

出典:海洋プラスチック問題について

世界全体の流出量(2010年推計値)は、478~1275万トンとなっています。国別の流出量は、1位は中国で132~353万トン、2位がインドネシアで48~129万トン。日本は30位で2~6万トンです。

現在、世界の海に漂う海洋ごみの量は、総計約1億5,000万トン(WWFジャパンWEBサイト「海洋プラスチック問題について」より)に達していると推定されています。

このままいくと、2050年には、魚より廃プラスチックの方が多い海になってしまうのです。

この海洋汚染の影響により、アザラシやウミガメなど約700種もの生物が傷を負ったり、死んだりしているのです。

輸出処理

廃プラスチックのリサイクルは、手間や人件費がかかることもあり、日本ではその多くを海外に輸出し、委ねていました。2017年は、143万トンもの廃プラスチックを輸出。香港、アメリカに次ぐ、世界第3位の廃プラスチック輸出大国――それが日本でした。

輸出先は2011年以降、中国がトップで、全体の50%以上を輸出していました。

しかし、その中国が2017年末に廃プラスチックの輸入を禁止しました。日本は、台湾や東南アジアへの輸出に切り替えましたが、これらの国々でも、相次いで輸入制限を始めています。

さらに2021年には、「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」(バーゼル法)の法改正により、22年1月1日からリサイクルに適さない汚れた廃プラスチックの輸出入が規制対象に追加されました。

こうした情勢により、廃プラスチックについては、国内でのリサイクルがさらに求められることになるのです。

出典 : 環境省 廃プラスチックのリサイクル等に関する国内及び国外の状況について

プラスチックくず(HSコード3915類)の国別輸出量(2017年1月~2019年12月)

脱プラスチック

日本では、レジ袋の代わりにエコバッグを利用する率が高まっています。また、一部の飲食店では、紙ストローの導入に踏み切りました。

このように、ペットボトルやレジ袋などのプラスチック製品を利用せずに、別の素材のものを使う取り組みが、ここ数年、加速してきています。まさに「脱プラスチック」というわけです。

現在、1人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量が、最も多いのはアメリカです。脱プラスチックの取り組みは、州や自治体ごとでバラバラでしたが、2021年11月、アメリカ環境保護庁(EPA)が「国家リサイクル戦略」を発表し、国全体でリサイクル可能な商品を増やすことや、リサイクル過程での環境負荷の軽減を行うこととしました。2030年に向けて、リサイクル率50パーセントを目標に定めています。