首都圏環境美化センター

2023/06/15

代表取締役 斉京 由勝インタビュー

「お前、“ごみ屋”をやってみないか?」

 父にそう言われたのは、今から30年ほど前のこと。

父が経営する会社を手伝っていましたが、あるとき「これからは、物を売るだけじゃなく、売った後の空き容器など、処理のことまで考えて商売をしないと、物が売れなくなる時代が来る」と、お取引先の石油会社の方から助言を頂きました。

「自分には無理だが、お前ならできるんじゃないか?」と、私に独立して、リサイクルの会社を作らないかと勧めてくれたのが父でした。

 私も、ただ物を売るだけでは飽き足らず、自分で販促企画などを考えて実行するのが好きなタイプでしたから、「ごみで商売するって面白そうだな」と思い、1994年7月、東京・足立区で株式会社首都圏環境美化センターを創業しました。

 産業廃棄物処理業の許可を取り、最初は小さなトラック1台からスタート。この業界では新参者でしたから、「屋上にある、水が入った大きな水槽を処理してくれ」とか、よそが嫌がる依頼を進んで引き受けて信用を勝ち取り、徐々に事業を拡大していきました。

「中間処理も人任せにせず、自社でやらなければダメだ」

 その後、破砕機を購入し、中間処理業の認可を得て、2001年に中間処理工場を新設。

 ただ当初はまだ「ごみを粉々に粉砕して、夢の島に捨てる」のが主流でした。しかし、再利用できる物を分け、処分する量を減らせば、処理費用も安く済み、利益はその分増え、また再利用可能な資源を売った分も利益になり、ごみ削減にもつながってWIN-WINとなり、結果的に社会にも貢献できると、強く確信しました。

 まだSDGsの概念もなかった頃でしたが「ごみをただ処理して捨てるのではなく、価値ある物に変えていこう」という考えは創業のときから持っていましたし、粉砕ではなく、分別を重視していたのもそのためです。事業を進めるうちに、リサイクル推進への思いは日に日に強くなっていきました。

 その後、2007年のリサイクル工場の新設を皮切りに、現在は7つのリサイクルセンターが稼働しています。異物混入によって機械が大きなダメージを負ったこともありましたが、近年は分別への協力も進み、最先端の機器も導入して、よりキメの細かいリサイクルが可能になりました。

 2022年4月からプラスチック新法が施行され、環境に対する世間の関心も高まっている中で、リサイクル業者の果たす役割は今後ますます大きくなっていきます。
 リサイクルは、決して綺麗ごとではありません。メーカー側は「ユーザーの利便性」を優先して、商品の容器を作ります。ユーザーが使いやすい容器は、往々にしてリサイクルしにくい素材だったりします。メーカーとわれわれリサイクル業者が協議しながら、これからの容器について考えることも重要です。

「リサイクルは、地球サイズの思いやり」

 ごみを価値あるものに変え、環境への負荷も減らす。こんなに夢のある仕事はないと私は考えています。
 今後も、創業以来のモットーを忘れることなく、真剣にリサイクル事業に取り組んでまいります。

2023年6月
株式会社首都圏環境美化センター
代表取締役 斉京 由勝